京都国際映画祭 -映画もアートもその他もぜんぶ-

白タク、ゆすり、たかり、スケコマシとあらゆる小悪事をシノギにし、親分なしの乾分なし、あがりも仲間で平等に分配する民主主義をたてまに、カッコよく、でっかく生きて行く、通称893愚連隊。
”ネチョネチョ生きる”戦後派チンピラたちに、出所したばかりの戦中派ヤクザが加わり、暴力団相手から一千万を奪い取る大勝負に挑む！当時新進気鋭の中島貞夫が自身の手によるオリジナル脚本を元に、親分子分の縦の関係や義理人情の定型化された物語から解放され、チンピラたちのエネルギッシュに生きる姿に共感を込めながらクールに描きだした傑作群像劇。
舞台となる京都をの街中をオールロケーションし、ハンドカメラを多用したドキュメントタッチで描かれる愚連隊たちのリアルな生きざまは、当時の熱い世相に生きがいを求められない人々の共感を呼び、中島貞夫監督の出世作ともなった。

「桜田門外の変」に始まり、大久保利通暗殺事件、二・二六事件などの暗殺事件をオムニバス形式に再現し、当時の世相を蘇らせる。
さらに、前大蔵大臣・井上準之助、三井銀行理事長・団琢磨を暗殺した血盟団事件に大きく焦点をあて、暗殺犯・小沼正の生い立ちから暗殺に至るまでの過程を詳細に描く。
明治、大正、昭和の百年にわたる暗殺百年の歴史を、空前のオールスターで描く一大巨編。暗殺犯・小沼正を千葉真一が演じ、暗殺者の心情をリアルに描き出す。そして、小沼を導いていく日連宗行者・井上日召を片岡千恵蔵が演じ、物語に重厚感を与えている。
さらに、若山富三郎、菅原文太、高倉健、鶴田浩二ら豪華スターが総出演。

目の病気で会社をクビになったテストドライバー・速水は、友達の美代子を宝石泥棒を計画。
数日後、まんまと宝石を盗んだ二人は、警察の追ってをくらますため別々に逃亡。
作戦は成功したかに見えたが、速水の乗るバスに、警察に追われる銀行強盗・谷村と桐野が乗り込んできたことから、事態は一変。
駆け出しの女優、主婦、ホステス、小学生、チンドン屋、宝石泥棒を巻きこんで、逃げるバスと追うパトカーの壮絶なカーバトルが始まった！　非常線を砕いて狂走するバス、緊迫と戦慄に包まれた乗客たち。狂気の狭間でエスカレートしていく人々の恐怖は、
奴らを二重三重の犯罪へと巻き込んでいくーー！！

明治から昭和初期にかけて、美人画で一世を風靡し、女性で初の文化勲章受章した画家・上村松園の波乱に満ちた生涯を描いた傑作長編「序の舞」。女流作家・宮尾登美子の第17回吉川英治文学賞受賞作を、ベテラン・中島貞夫監督が完全映画化した文芸超大作。
明治の世に、しかも古い慣習を尊ぶ古都・京都を舞台に、未婚の母として、女流画家として強く生き抜いた島村松翠（津也）を主人公に、その母・勢以との愛憎、そして師匠・恩師・画熟成の三人の男と関わりながら、日本画家として大成していく松翠の生き様を、激しく、美しく描いていく。ヒロイン松翠（津也）には、本作で初の主演を果たした名取裕子。
女手一つで娘を育て上げた誇り高き母・勢以に岡田茉莉子が扮する他、松翠と関係を持つ三人の男たちに、風間杜夫、佐藤慶、三田村邦彦。さらに高峰三枝子、三田佳子ら豪華キャストが華麗に共演している。

京都で半世紀以上にわたって映画キャリアを積み重ねてきた中島貞夫監督。
その中島監督が、京都で制作された時代劇（ちゃんばら）を、映画人として内部から考察。
時代劇が作られた背景、ちゃんばらに込められた日本人の死生観など、ストーリーを追うだけでは見えてこないちゃんばら映画の魅力について、殺陣師、俳優、映画研究家、評論家など映画有識者の方々へ中島監督がインタビュー。
日本が誇る芸術文化としての側面を浮かび上がらせるドキュメンタリーパートと、中島監督の指導のもと、俳優　木村彰吾、山本千尋、東映剣会らが出演するオリジナルのちゃんばらシーンを、メイキングシーンと共に紹介、いかにして、ちゃんばらシーンが作り上げられていくかを追うとともに、ラストは完成された本編で締めくくる。

現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の侍が、斬られ役として活躍する姿を描いた痛快娯楽作品。
自主映画にも関わらず、東映京都撮影所の協力で製作された本作。

映像クオリティーだけでなく、娯楽作品としての面白さも商業映画を凌駕しているとの声多数あり!!
突如、未知の状況に放り込まれた男が、七転八倒する姿に笑いと涙が止まらない!!

クライマックスは時代劇史上トップレベルの緊迫感か!?

働くねことして全国的に知られる会津芦ノ牧温泉駅の“ねこ駅長”らぶの日常を綴った、劇場版「にゃん旅鉄道」。ねこ好きによる、ねこ好きのための、ねこ愛あふれる本作品。春夏秋冬、出発進行！！
主人公は、会津鉄道・会津芦ノ牧温泉駅に“勤務”する駅長「らぶ」と弟「ぴーち」、妹「さくら」の３兄妹。ハナモモの季節に天国に旅立った“先代ねこ駅長”「ばす」の思いを知ったとき、人間の想像をはるかに超える、働くねこたちの絆の物語がはじまったー。

四季がはっきりと移ろう福島県会津地方の雄大な自然を背景に、働くねこたちの日常を３年に渡って記録。撮影は全編「飛び猫」で知られる写真家・五十嵐健太が担当。ねこ目線の優しい実写映像にアニメーションを効果的に組み合わせ、“奇跡が起こる駅”のドラマを描く。

アリス・ギイ（1873～1968年）は、1896年に世界初のフィクション映画『キャベツ畑の妖精』を作った世界初の女性映画監督です。
けれども、同時代のリュミエール兄弟やエジソン、メリエスに比べてほとんど知られていません。
出町座他で昨年9月『映画はアリスから始まった』（第71回カンヌ国際映画祭正式出品。第15回バンクーバー国際女性映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞受賞）上映で彼女のことを知った人も多いでしょう。
今年はアリス・ギイ生誕150年の節目です。アリスがアメリカ時代に作った5作品を坂本頼光さんの活弁と天宮遥さんのピアノ演奏で上映します。

1922年に誕生し、1923年に我が国に渡来したパテ・ベビー。アマチュア映画が作られるようになり、100年になる。
劇映画だけでなく、ホームムービーの中に、時代を目撃した映像が残っている。その中から貴重な映像を集め、生伴奏で見ていただきます。

本年が生誕130年となる映画史のレジェンド喜劇王ハロルド・ロイドが、活動初期に世界的な人気を確立したとされる傑作短編です！この作品を超ベテラン活動写真弁士の佐々木亜希子＆バークリーでジャズを学んだ最強ピアニスト松下美千代が、時代を超えて艶やかに盛り上げます。さらに喜劇映画研究会の新野敏也が貴重な資料映像を織り交ぜ、製作当時の映画界情勢、ロイド喜劇の成り立ちからプライベートの偉業までを解説します。

映画史のレジェンド「笑わぬ喜劇王」キートンが自らのプロダクションで製作・発表し、世界中で大ヒットとなった歴史的傑作です！《絶海の密室劇》から《恋と冒険の活劇》に急展開する、みどころ満載の、大人のファンタジーです。
2007年のパリ国立高等音楽院留学中に無声映画のピアノ伴奏でデビューを果たした神﨑えりが、イタリアの映画祭strade del cinema2008で弾いた作品で、今回はその想い入れいっぱいに新たな奏法で、キートン喜劇のスピリットを蘇生します！

映画にまだ音がついてなかった頃、
日本の映画館では「無声映画×弁士による語り×生演奏」というスタイルで映画を楽しんでおり、
映画＝活動写真と呼ばれ、活動写真弁士のことや活動写真×弁士つき公演のことを「活弁」と呼んでいました。

時は令和。映画に声が入ることが当たり前の今、
無声映画をより分かりやすく語る弁士に再び脚光が当たっています。

その第一人者である片岡一郎弁士を講師として、
日本映画界の未来を担う子どもたちに活弁の面白さを知ってもらい、
実際に弁士を体験するワークショップを開催します。

今回のワークショップがきっかけになって未来の活動写真弁士が生まれるかも！？

女優・監督の辻凪子と吉本芸人の堀川絵美が講師、そして映画プロデューサーの古賀俊輔氏を校長に迎え、
子どもたちに演技の楽しさを伝えるワークショップを開催します。

演技経験があってもなくても大丈夫。辻凪子と堀川絵美が子どもたちの気持ちを最大限に盛り立てます。
ワークショップ内容はお題映像を観て2人ペアで演技の練習を行い、その後、カメラ撮影を前にして演技発表。
そして、自分たちの演技をすぐにスクリーンで鑑賞できます。

その演技を辻凪子と堀川絵美が講評し、子どもたちの「演技欲」を高め、最後は古賀俊輔校長による未来ある子どもたちへの賛辞。
このワークショップから一人でも多くの映画俳優が育ちますように！

日本の本格的アニメーション黎明期より活躍するベテラン作家9名と、中堅1名（和田敏克）によるアニメーション創作集団「G9+1」による八篇の新作オムニバス・アニメーション、「G9+１」誕生のきっかけになった川本喜八郎監督の「冬の日」、12世紀にイランの詩人が書いた民話を元に制作されたアニメーションなど、アート作品ともいえるアニメーション作品を上映いたします。

本作品は、北海道下川町と吉本興業がSDGs包括連携協定を結び、下川町の特産品であるフルーツトマトの魅力を広く伝えるため、吉本の人気芸人がトマトのキャラクターとなり漫才を披露するアニメーション作品。
出演は、はるかエイト役のNON STYLE石田＆好井まさお、はるかナイン役の囲碁将棋文田＆GAGひろゆき、濃ゆとまと役の蛙亭イワクラ＆エルフ荒川、North★Sweet役のすゑひろがりず三島＆ななまがり初瀬。

※入場者特典として、オリジナルステッカー4種、北海道下川町のトマトジュース1本 をプレゼント！

本作品のモチーフは沖縄の伝統エイサーです。舞台は横浜市鶴見区。
仲通り（なかどおり）商店街で毎年夏に行われる道ジュネー。

その風景は、とてもエネルギッシュであり、時にノスタルジックで、まるで沖縄に居るかのような錯覚に陥ります。
エイサーを通して、人と人の絆や、思いやり、そして先人への感謝など、ウチナー魂を感じる作品です。

エイサーの本場である 沖縄市の後援のもと、伝統を受け継ぎ、
沖縄市の園田青年会（そんだせいねんかい）の皆さんにも作品に登場して頂き、
本場の迫力あるエイサーの登場が見どころのひとつです。

エイサーの魅力を多くの人に伝え沖縄市と横浜市鶴見区の両地域の魅力を発信していく映画となっております。

日本で起きた大災害“東日本大震災”から10年の節目を迎え今年で12年。

クオン株式会社が運営しているオンラインコミュニティ「“絆”のコミュニティ」に生活者から寄せられた
1万4千件以上のさまざまな“絆”にまつわるエピソードより、多くの参加者に共感されたエピソードを抽出して脚本化。

東北６県を舞台に、地域発信型映画のスタンスにて、“絆”をテーマにした５つのショートムービーを製作。

５つのショートムービーを繋ぎ、１本の作品として完成したのが、
映画「絆のものがたり〜心と心を結ぶもの〜」です。

貧窮のため両親に捨てられた12人姉妹が、人間に変身した女夜叉サンタラーに養女として引き取られるが、
人喰い夜叉の正体を知ると逃亡し、そこで出会った王に気に入られて全員王妃となる。

しかしサンタラーが王をだまして筆頭王妃となると、12人姉妹の目玉をくり抜いて洞窟に幽閉してしまう。

片目が残った末娘以外の姉妹は正気を失い、生まれたばかりの子の死肉さえ食らうようになるが、
末娘は我が子を守り抜き、子供は心優しいトランスジェンダーの夜叉によって育てられてロットセーン王子となる。

ロットセーンはある日、夜叉国にいるサンタラーの娘メーリー王女へのお使いを頼まれるが…。

故ソムポート・セーンドゥアンチャーイ監督追悼上映。

女子高生のリサとサラは自分たちが作った動画の視聴数を稼ぐことに熱中している。二人はそれぞれの家で居心地が悪い思いをしている。リサの母親は再婚相手に嫌われないように顔色をうかがっている。サラは両親を事故で亡くし、唯一の家族である兄は結婚の準備で忙しい。ある日リサはオンラインで見つけた性行為の流出動画が頭から離れなくなり、母とサラから愛想を尽かされる。一方、サラは10歳年上のデヴァンと付き合い始めるが、18歳の誕生日に性的関係を強要され、別れようとしてリベンジポルノの被害者となる。サラは法的にも社会的にも被害者として認められず孤立する。2023年大阪アジアン映画祭グランプリ受賞作品（協力：大阪アジアン映画祭）。

「お弁当を持ってきて欲しい」と学校にいる弟から自宅に電話がかかってきた。

姉は目が見えないので料理をしたことがない。
姉は弟のために初めてお弁当作りに挑戦する。
つねに姉を気遣ってきた弟に、姉が今度はなんとか応えたいと、行動をおこす。

この映画は、上手くいかなくても、上手くいかないからこそ、
目の前の世界がとても愛おしく輝いて見えるという映画のレトリックを、
登場人物である姉弟の関係性を通して描いた作品である。

映画を作る側と観る側に、ともに希望を与える作品である。

淡水と海水の混ざり合う場所に根を張り生息し、雄雌が無く胎生を持ち発芽成長していくマングローブ
変化を求められる今の世の中において、その場所に居て変わらない事も素晴らしい事ではないかという事を、
東村の自然や人々、一人の聾者(耳の聞こえない)女性の日常を通して描いていく。

主演は新人の玉城実夏を起用し、手話劇団アラマンダの大屋あゆみや劇団員が熱演。
上田真弓「演じる女」（照屋年之監督）神崎英敏「ミラクルシティコザ」（平一紘）が脇を固める。

メインテーマ曲は、沖縄若手バンドHoRookiesの「DAWN」

今年は小津安二郎監督生誕120年、没後60年にあたり、当館でも7月16日に続き、10月15日に小津安二郎研究者の宮本明子同志社女子大学准教授の講演をします。
せっかくの機会ですので、講演後に小津監督12本目となる『突貫小僧』も上映します。
2016年9月に当館で見つかったパテ・ベビー版にアメリカのランドルフメーコン大学ジム・ドーリング教授の演奏をつけた録音版です。
今年、さらに長尺の16㎜バージョンが発見され大きな話題になりました。人さらいの親分と子分が、さらってきた子どもの腕白ぶりに振り回される様子は、何度見ても面白いです。
主役の子どもを演じた青木富夫は以降、「突貫小僧」を芸名にして活躍します。

大分県別府市を舞台とした『別府短編映画プロジェクト』は、日本屈指の映画監督がリレー方式で、それぞれのオリジナル短編映画を制作するプロジェクトです。
今回、京都国際映画祭では「惡党と物書き」「大怪獣ブゴン」「ナンバのハンパな借金取り～陽気なカッパと珍道中」の3本を特別に上映いたします。